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セッション名:かわいそうな魔神 開催日時:2007年10月1日 GM:影法師 PL:空、睦月、雅戌(敬称略) 以下、アフタープレイ作業 ①ダメージ回復 全員のHP、MPは全回復。 ②コネクション消去 ハンドアウト、及びセッション中のコネクションは消滅。 ただし、今後影法師がGMを行う場合、許可を得られれば再使用が可能。 ③アイテム回復 常備化アイテムは全て回復。 ④アイテム消去 常備化していないアイテムは消滅。 ⑤経験点配布 ・セッションに最後まで参加した 全員に1点 ・クエストを達成した 睦月に3点 空、雅戌に2点 ・場所の手配、提供を行った 影法師に1点 ・倒した敵の経験点 【魔神】=20(加護6つ) 【合計】=26 26÷【PC数3】=9 全員に9点の配布 ・よいロールプレイをした 全員に1点 ・他のプレイヤーを助ける言動をした 雅戌に1点 ・セッションの進行を助けた 全員に1点 ・登場シーン÷3 雅戌 1 4 5 6 7 8 9 =3 睦月 2 4 5 6 7 8 10 =3 空 3 4 5 6 7 8 11 =3 ・合計 空:17点 睦月:18点 雅戌:18点 ・GM経験点 【全PL合計】÷【3】=53/3=18+1 影法師:19点
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宗城 創【そうじょう はじめ】 男性/18歳 178cm/69kg 高校に通う普通の少年。 両親が生まれてまもなく死亡したらしく、シオン・ガーシュタインを養父として持っている。 そのため、ラピス・ラズリとは間接的な兄妹関係にある。 高校生にしては鋭利な目を持っており、目つきが非常に悪い。 加えて三咲翔との付き合いが深いことから、先生側からこっそりマークされている。 付き合っている友人のせいで馬鹿に見られがちだが、根は真面目な人物。押しに弱く、頼られると断りきれない優柔不断。 同じ高校に通う三咲翔とは瓦で殴りあう経験を経た親友の仲。 誤字じゃない辺りが非常に困る。 NPCステータス ▽生まれ 【父親:孤児】/【母親:孤児】 ▽利き手 【右手】 ▽一人称 【俺】 ▽象徴する台詞 【いい、俺がやる】 【この……クソ親父ッ!】 ▽コネクション 【友情:三咲翔】 【食傷:シャルロット・ブランシュ】 ▼ステータス ▽スタイル 【エンハンスド】 ▽パイロットステータス 移動力 11m 負傷ゲージ HP:22 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□ 軽傷:11 □□□□□ □□□□□ □ 重傷:6 □□□□□ □ 瀕死:3 □□□ 死亡:1 □ ▽ステータス:技能レベル 肉体/【11】:体力/【1】白兵行為/【1】格闘兵器/【2】回避/【3】 感覚/【12】:射撃兵器/【4】砲撃兵器/【3】探知/【2】整備/【1】 理知/【4】:誘導兵器/【1】情報処理/【1】隠蔽/【2】調達/【1】 文化/【5】:話術/【2】芸術/【1】意思/【2】世情/【1】 軍事/【2】:軍略/【1】陳情/【1】階級/【1】 ▽スキル 【フルドライブ】 【逆転運命】 【超感覚】 ▼所持品 ▽兵装 ▽アイテム 私服/軍服 携帯電話 ▼成長点 保持: 8点 使用:60点
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ガブリエル・アンディオン【がぶりえる・あんでぃおん】 男性/24歳 183cm/76kg バスタードに所属するオペレターの男性。 スペインの生まれらしく、黙っていれば秀麗な好青年なのだが、女性と見るととりあえず口説く悪い癖を持つ。 その反面、特定の女性と噂が立ったことはないという密会上手。 リアクションもオーバーなものが多い人物であり、ヨーロッパからの撤退が決定した際、泳げないのにもかかわらずヤマツカミから飛び出して死にかけた経歴を持つ。 NPCステータス ▽生まれ 【父親:芸術家】/【母親:聖職者】 ▽利き手 【左手】 ▽一人称 【俺/俺様】 ▽象徴する台詞 【はーい団体さんご案内。さくっと片付けてくれ、順番待ちなさってるからさ】 【この後デートなんだ。わかるな? さっさと終わらせてくれ】 ▽コネクション 【好意:市原雪奈】 【好意:水恵汲穂】 【好意:シャルロット・ノワール】 ▼ステータス ▽スタイル オペレーター ▽パイロットステータス 移動力 9m 負傷ゲージ HP:16 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □ 軽傷:8 □□□□□ □□□ 重傷:4 □□□□ 瀕死:2 □□ 死亡:1 □ ▽ステータス:技能レベル 肉体/【8】:体力/【1】白兵行為/【1】格闘兵器/【1】回避/【1】 感覚/【4】:射撃兵器/【2】砲撃兵器/【1】探知/【2】整備/【1】 理知/【8】:誘導兵器/【1】情報処理/【3】隠蔽/【2】調達/【1】 文化/【11】:話術/【2】芸術/【2】意思/【4】世情/【2】 軍事/【1】:軍略/【1】陳情/【1】階級/【1】 ▽スキル 【声の守護】 【オペレーション】 【マナインターセプト】 【精神感応】 ▼所持品 ▽兵装 ▽アイテム 私服/軍服 ▼成長点 保持:13点 使用:60点
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セッションタイトル: 『「せめて、人間らしく」と彼女は言った』 開催日時:2008年1月14日 GM:雅戌 PL:冴月、西蜂、雅戌(敬称略) 以下、アフタープレイ作業 ①ダメージ回復 全員のHP、MPは全回復。 ②コネクション消去 ハンドアウト、及びセッション中のコネクションは消滅。 ただし、今後雅戌がGMを行う場合、許可を得られれば再使用が可能。 ③アイテム回復 常備化アイテムは全て回復。 ④アイテム消去 常備化していないアイテムは消滅。 ⑤経験点配布 ・セッションに最後まで参加した 全員に1点 ・クエストを達成した 冴月に1点、西蜂に1点、雅戌に0点。 ・場所の手配、提供を行った 全員に1点 ・倒した敵の経験点 【相馬舞衣 L35(加護7)】 【合計】=42 42÷【PC数3】=14 全員に14点を配布 ・よいロールプレイをした 全員に1点 ・他のプレイヤーを助ける言動をした 全員に1点 ・セッションの進行を助けた 全員に1点 ・登場シーン÷3 西蜂:1・3・4・5・7・8・9・10・11 3点の配布 冴月:1・3・4・6・9・10・12 3点の配布 雅戌:2・4・5・6・8・9・10・13 3点の配布 ・合計 冴月:23 西蜂:23 雅戌:22 ・GM経験点 【全PL合計】÷【3】=68/3=22 雅戌 22点(合計44点)
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▼パーソナルデータ ▽名前 【朽木雅宗】 ▽性別/年齢 【男】/【25】 ▽生まれ 【教育者】/【教育者】 ▽利き手 【右利き】 ▽人称 【私】/【貴方】 ▽象徴する台詞 【こういうことは、本来軍人のやるべきことなんですけどね……】 【貴方たちを一人でも多く家に帰すのが、私の役目です】 【戦闘機とSaviorの距離は、もどかしいものですね……】 ▽コネクション 【友情:ガブリエル・アンディオン】【尊敬:東堂衛】【父性愛:エンハンスド】 【競争心:スコット・スタンフォード】【感心:シャルロット・ノワール】【成瀬陽介:仲間意識】 ▼ステータス ▽スタイル 【ソルジャーズ】 ▽パイロットステータス 移動力:11m 負傷ゲージ HP:24 □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□□ □□□□ 軽傷:12 □□□□□ □□□□□ □□ 重傷:6 □□□□□ □ 瀕死:3 □□□ 死亡:1 □ ▽ステータス:技能レベル 肉体/【12】:体力/【2】白兵行為/【1】格闘兵器/【1】回避/【2】 感覚/【10】:射撃兵器/【3】砲撃兵器/【1】探知/【2】整備/【1】 理知/【13】:誘導兵器/【3】情報処理/【1】隠蔽/【3】調達/【2】 文化/【1】:話術/【1】芸術/【1】意思/【1】世情/【1】 軍事/【1】:軍略/【1】陳情/【2】階級/【1】 ▽スキル 【アクロバット】【バーンナウト】【クイックリロード】【撃ち落し】 ▼所持品 ▽兵装 クラスターミサイル ▽アイテム 私服/軍服 携帯電話 鉄アレイ/1 お守り/1 ▽フラグ 【闇夜の怪鳥・A】【マナブレイク・A】 ▼成長点 保持: 3点 使用:70点 ▼設定 ソルジャーズの例に漏れずエンハンスドに成れなかった青年。 エンハンスドとして一般人が戦うことに嫉妬心を持ちつつも、一般人が 戦わざる負えない状況に憤りを感じ、せめて一人でも多く無事に帰そうと 戦闘機に乗って戦う決意をした。 誰に対しても丁寧語で接するため、話してみたら割と優しそうな人。 メガネキャラ故に不敵に笑うと眼鏡が光る(何
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ヴァイスリージェント産 誕生年 馬名 国 性 札 SP ST 力 瞬 勝 柔 精 賢 健 サブパラ合計 気性 芝 ダ 芝質 脚質 成長型 成長力 距離適性 子出 毛色 性格 高 長 小 左 右 脚 喉 腰 特性 ウマソナ 父馬 父系 母馬 牝系 1979年 デピュティミニスター 米 牡 金 69 25 B B+ A C+ C+ B E+ 66 大 × ◎ 5-8(3-8) 先行 早鍋 有 1200~1800m 10 黒鹿 普通 普 普 非根幹距離 人懐こい ヴァイスリージェント ノーザンダンサー系 ミントコピー 1981年 パークリージェント 米 牡 銅 67 45 A C C E+ D D C+ 54 荒 ◎ ○ 6-8(5-8) 自在 早熟 普 1700~2100m 5 鹿 普通 普 普 スパルタ ヴァイスリージェント ノーザンダンサー系 ミスアトラクティヴ 1981年 バウンディングアウェイ 米 牝 緑 64 55 E C E C+ G E E 33 普 ◎ ○ 6-8(5-8) 差し 普早 有 1700~2500m 3 栗 普通 普 普 スパルタ ヴァイスリージェント ノーザンダンサー系 バンビーティーティ 1985年 リーガルインテンション 米 牡 緑 65 45 E C C E+ E C A 49 荒 △ ◎ 4-7(3-8) 自在 普早 持 1700~2100m 3 黒鹿 普通 普 普 スパルタ ヴァイスリージェント ノーザンダンサー系 ティファニータム 1989年 ハーバースプリングス 米 牝 銅 65 40 E+ E+ E+ E+ D E+ C+ 40 普 ◎ ○ 6-8(5-8) 自差 早熟 普 1600~2000m 6 鹿 普通 普 普 甘えん坊 ヴァイスリージェント ノーザンダンサー系 ティニタス 1989年 エイシンテネシー 米 牝 緑 61 65 D F C E+ D C C+ 44 大 ◎ × 5-8(3-8) 自先 晩成 普 2000~2600m 5 鹿 普通 普 普 大駆け 冬競馬 人懐こい ヴァイスリージェント ノーザンダンサー系 キャッスルロワイヤル 1991年 トワイスザヴァイス 米 牝 銀 69 30 B D+ A+ E+ C+ A B 66 普 ◎ ◎ 5-8(3-8) 逃げ 覚醒 持 1400~1800m 2 栗 普通 普 普 大舞台 スパルタ ヴァイスリージェント ノーザンダンサー系 ダブルセット 1992年 ディボーステスティモニー 米 牝 緑 52 10 F F G+ G+ F+ F+ F+ 15 普 × ◎ 4-7(3-8) 先行 早熟 無 1100~1300m 3 栗 普通 普 短 スパルタ ヴァイスリージェント ノーザンダンサー系 エンジェリックソング フルートフル系
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autolink LL/W28-005 カード名:“No brand girls”希 カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:3 コスト:2 トリガー:1 パワー:10000 ソウル:2 特徴:《音楽》? 【自】このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたは自分の山札を上から6枚まで見て、3枚控え室に置き、残りのカードを山札の上に好きな順番で置く。 【自】このカードがアタックした時、あなたは自分の山札の上から1枚を公開する。そのカードが《音楽》のキャラなら、他のあなたのキャラすべてに、そのターン中、ソウルを+1。 一緒にみんなに喜んでもらおうねー レアリティ:RR illust. 13/12/05 メールマガジン 14/1/13 今日のカード メルマガで先行公開され、後に今日の公開カードで画像付きで公開された。 ヴァイス初の登場効果。デッキ削りと打点操作を両方同時に行うもの。 水着の由夢と千里 朱音等の効果を足して割ったようなもの、とも言えなくはない効果。 最初の効果で3枚控え室に置くことになるが、デッキ残り6枚以上でかつリフレッシュ直前なら、 デッキに残ったCXを控えに置くことでクライマックスの戻る枚数を増やし、圧縮率を上げることにつなげたり、 トリガーのないカードを控えにおいて、トリガーのあるカードを残す、という使い方ができる。 「まで」指定なので、5枚、4枚指定もできるが、その場合操作できる枚数が減ることになるので注意したい。 CXをあえて残す場合、自身の2つ目の効果および“炊き立てご飯です♪”花陽と相談して 置き順とアタック順番を決めるのがいいだろう。 また、状況は限られるが攻撃回数を減らし、山札にクライマックスを残すという戦法もある。 ある意味「3枚捨てる操作が加わった代わりに見る枚数が3枚増えて、かつCX不要」の情熱家 雪歩と言えなくもない。 操作できる枚数が実質3枚なのも、あちらと共通している。 発動タイミングはアタック時ではないが、自身の2つ目の能力があるので気になるほどでもない。 そしてもう一つの能力は、当てれば自分以外の味方にソウル+1を与えるもの。登場ターンであれば最初の能力で トリガー順を操作しているので、打点調整に貢献する。ただし自分は上がらないため、最初の能力で操作する時は、 このことを前提に順番を決める必要がある。とはいえ置いた順によっては、自身が最初にアタックしなくてもいい、 というプレイングもできるので悪くはない。 最初の能力に関してだが、デッキ残り3枚以下の時は注意が必要。 (デッキ残り3枚の場合)3枚を選んだ場合、見たカード全て控えに置く処理(その後リフレッシュ処理)だけになる。 とはいえ6枚「まで」指定なので、2枚、1枚のみ指定するという方法は一応とれるが、 打点操作ができなくなるのであまり利が得られない。 ただし、0枚指定なら山札を削ることがない、ということは覚えておくと良いだろう。
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朝日が差し込む教室に緑色の髪の少女は何かをいじりながらたたずんでいた。今日も快晴、風がさわやかに吹き付ける中、まだ自分以外クラスメイトのいない教室に酔いしれる― が。 「おっはよ~アリア!」 「うおおッ?!びっくりすんじゃん!サラかよ、もー驚かせんなあ~!」 さっきまでのあの静かな身のこなしとは打って変わって少女はクラスに入ってきたもう一人の少女―金色の髪が風に揺れてなびいている、妖精のようにかわいらしい少女だ―にげはげはと、大きな声で笑いかけた。 「いつも早いよね、こんな早くに来て何やってるの?」 「あー、兄貴の所為なんだよね。勉強するために早く行くーって言うんだから。」 「へー、やっぱりヴァイスはすごいのね。」 「うん、なんやかんやでヴァイスも頭いいんだよね、本当は。悪戯ばっかしてるからセンセーには嫌われてるらしいんだけどね。」 サラはくすっと可憐に笑う。 「うん、でもそういうところがヴァイスはいいんじゃないかしら。おもしろくて好き。」 「アハハ!確かに面白いけどねー。ていうか兄貴のせいであたしはこんなに真面目になっちゃったんじゃねーのって話になってさ。ちゃんと世の中バランスがとれるようになってんの。そだ、サラの兄貴も3-Sにいなかったっけ?」 「いるよ。今日ちょっと遊びに行こうかと思っているの。ついでに害虫駆除もね…」 「害虫駆除ォ?まぁなんか楽しそうだしあたしも行こうかな。」 一方そのころ3-Sではレオンとヴァイスが同時にくしゃみをし、なにかいやな予感を覚えつつ教科書を予習していた。 いや、予習していたのはレオンだけ、ヴァイスはアリア同様なにかに全ての力を出していたのだが。 「君さっきからなにやってんですか…」 「内職。ついでにいうと学校終わったらバイトもある。」 「なんでですか!遊ぶ金ほしさですか!」 「ちげぇよ!生活費が苦しいのッ!俺の家、両親いない割には3人兄弟だからね。自宅がさァ、まだあるから家賃とか気にしなくても大丈夫なんだけどね…食費がね~…」 ここでレオンの表情が暗くなる。ヴァイスは特に気にする様子もなく手を動かし続けていた。クラスに重い雰囲気がながれかったその瞬間、クラスのドアが開いた。かばんを持つことすらせず、財布と定期だけ持った好青年―にみえるカンジの人、エルネストが入ってきたのだ。 「おはよーごぜーます、っと。おうヴァイス今度は何の内職だよ。」 「造花ー。やべーよ、ヴァイス君第二話にして花背負って登場だよ。少女マンガかってんだ。」 「お前に花は似あわねーよそれこっちに寄越しな。俺のほうが花似合うって。」 「わ、手伝ってくれんの♪さんきゅー!」 そんなエルネストとヴァイスの様子を見たレオンは教科書を置き、二人を手伝うために席を立った。未完成の造花に手を伸ばしたそのときである。 「おはよう、なんで全員で花いじってるの?キモキャラのつもり?」 「あ、プリアラ!お前も漢なら手伝えッ!」 ドアが開いて現れた少女にヴァイスが叫んだ。エルネストも一度手を止め、そうだそだー、と声を張り上げる。が、なぜかレオンにはいやな予感がするのだ― いやな予感はあたった。プリアラは黒板消しを手に取り目にもとまらぬ速さでそれをヴァイスの顔面めがけて投げた。が、ヴァイスもそうやすやすとそれを喰らったりはしない。それどころか、完成品の造花のダンボールを肩に担いで後ろへ跳び、一つ目の黒板消しを避け(一つ目の黒板消しはレオンの顔面にクリティカルヒットしたようだ)、チョークの乱舞を机を盾にしのぎ、二つ目の黒板消しはうまくキャッチして黒板に戻した。プリアラは舌打ちをする―が、次の瞬間くす、っと笑った。 「んだってんだ…って……プリアラ…さん~?」 そう、さっきまですぐ前にいたはずのプリアラがヴァイスの背後にはにこにこと笑って仁王立ちしていたのだ。心なしか地獄の業火を背に背負っているようにすら見える。さすがのヴァイスの額にもいやな脂汗が流れた。やはりというか、そのまま殴り倒されたヴァイスは午前中の内職を終了せざるをえなくなったようだった…。 「いてて…プリアラ~、おもいっきりやることねーだろ、おもいっきりテレビですかってんだ、みのもんたかお前は!」 「訳わかんないわよっていうかね、あなたデリカシーがなさすぎるのよ。」 「うーっす、おはよー!」 「はい、おはよー…っておいおいアリア!お前なに調子のってんの?なんで3年の階来てんの?絞め殺されんじゃね?」 「絞め殺される前に絞め殺すから大丈夫じゃね?いや、あたしはサラについてきただけなんだけどね。」 アリアとサラが3-Sの教室へ現れた。二人に5人の視線が集中する。 それにしても、全く二人の印象は正反対だ― アリアはヴァイスに似て、やんちゃそうな表情、短めの髪、いかにも元気いっぱいの少女であるが、サラは長いゆるやかなカーブを描いた金髪に穏やかな物腰と上品な表情といった、いかにもお嬢様のような少女である。 「サラ?」 「レオンくーん、昨日焼いたクッキーもってきちゃった~♪」 サラは手に提げていた袋を目の前に突き出し、上品に笑う。唯一残念なのは兄の呼び名が「お兄様」ではなく「レオン君」だということだけか。 クッキーのにおいをかぎつけたのか、まっさきにヴァイスが彼女の元へ駆け寄ってきた。そして期待いっぱいの目で彼女を見て、「何!?俺らの分もあんの?!」と大声ではしゃぎまわると、やはりサラは上品そうな笑みをうかべて「もちろん」というのだ。 「いや~、いいねぇ、こーゆー家庭的な妹vおいアリアもなんか作ってよ。」 「無理!あたしの技術うんぬんより家計の問題デス!」 「そりゃそうデス!」 「…どーしてこの二人が言うと暗い話題でも大した事なさそうに聞こえるのかしらね…?」 遠くに座っていたプリアラがため息をつきながら、彼らを一瞥した。と、サラは彼女の元へ歩み寄り、袋を手渡す― 「はい、プリアラさんには特別のv」 「あら?ありがと―」 プリアラは包みを開ける。その間ほかの者たちは嬉々としてクッキーに喰らいついていたのだが。周りを見ている限り、クッキーは美味しいようだ。無論教室中においしそうな甘い香りが充満している―が、プリアラの包みの中からは腐ったキノコととぐろを巻いたクリームシチューを混ぜ、その中に納豆を放り込んだようなにおいを放つ、紫色のクッキー?が入っていた。おまけに、メッセージ付きである。それにはこう書かれていた。「レオン君を取る泥棒猫はトムに振り回されて死んじゃえコノヤロゥv」 何かがプリアラの中で切れる音がした。サラはあいかわらず笑っている。が、黒いオーラを彼女へ発し、なにか火花のようなものが両者の間で散ったような気がした。 おもむろにプリアラは席をたつとヴァイスと話し込んでいるレオンに話しかける。突然の行動に困惑するサラを尻目に。 「レオン~、サラちゃんって本当に料理上手なのね!せっかくの特別製をいただいちゃったことだし、あなたにも分けてあげるわ。だからそれを寄越しなさい。」 満面の笑みでプリアラはサラから受け取ったクッキーを持ち、レオンに話しかけ、いや脅迫をしかける。ヴァイスとエルネストは何か危険な空気を察したのだろうか、一歩引いてしまった。 アリアはなにやら生暖かい目線を彼らに送っていた。 「え?ぷ、プリアラ?!」 「私が食べさせてさえあげるわ。食べるわよね?あなたの妹の特別製。全部。食べるわよね?っていうか食べろ。」 「もも、もちろんー!?」 「…漢だぜ……まごうことなき漢だよ、レオンのヤツ…」 「ヴァイス、お前泣いてる…?」 「そりゃ泣くよ…いろんな意味で。」 「サラの言っていた害虫駆除ってコレか…」 「おいおい知ってたなら止めろよ?」 「いやぁ~…無理。」 幸いなことに、レオンが特別製クッキーを喰らうことはなかった。全てを解決し、ゼロに戻してくれる唯一無二の存在、学校のチャイムが鳴り響き、レインが教室に入ってきたのだ。 「オイこら席に着きなさいお前らー。今日は英音ありますからねー昨日死ぬ気で練習したレッチリが炸裂しますからねー。アレなんか生徒増えていませんか。」 「俺とレオンの妹だよ、センセー。ホラホラ、アリア、帰れ…ッ」 「先生ー、プリアラさんとサラさんが後ろでメンチ切りあってまーす。」 「ほっときなさい、怖すぎますからね。HRはとくに連絡することなし。後ろでメンチ切ってる青春少女たち以外は着替えてグランド集合。以上!」 結局その日からプリアラとサラとの恐ろしい戦いが始まるのであった。レオンの胃腸薬の量は日に日に増していったことは言うまでもない…
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ヴァイスは肩で息を吸い込み、そして吐き出した。荒い呼吸がとまらない。治療中のままであるやけどの跡は消えていなかった。彼の周囲で風が巻き起こり、魔力が収束していくのが見てとれたのではあったが、それ以上のことは起こらなかった。この魔法が一体なんだったのかも理解できない。ヴァイスの魔力は徐々に薄れていっているらしく、それを自覚した彼はがっくりと肩を落とし地面を見つめて、こぶしを振りおろした。 「…ちくしょうっ…!ちくしょうちくしょうちくしょう!」 つい先ほどまでいたはずのベルセルクの姿はなくなっていた。それどころか、そのことに少しの間ヴァイスは気づいてすらいなかった。なぜ自分が王宮にいないのかと考えていて、ようやく思い出したのだ。自分が王ではなく、ただの修道士だということを。 「このままじゃまずい…!」 再びこぶしを握り締め、それを大地に何度も叩きつけるが何の解決法も思いつかない。こうしている間にも魔力は徐々に衰え、思考も泊まりかけているのを顕著に感じている。 「…レオン。頼む…!」 「情けないわね、王様。」 突然背後から聞こえた声に振り返り、絶望的な瞳を声の主に向けた。藍色の髪の乙女―プリアラだった。彼女さえも自分を王と呼ぶのか、ヴァイスは首を横に振る。 「俺は王様なんかじゃない。」 「冗談のつもりよ。私がこれくらいの魔法に引っかかるとでも思うの?」 先ほどの冷たい響きを持った言葉とは一転しプリアラはいたずらっぽい笑みが浮かべていた。ヴァイスも少し安心したらしく、ふと微笑してよろよろと身を起こした。 「…お前はまだ無事なのか…。俺はこのザマだ。ベルクも消えちまったよ。さっきなんか、俺が何者なのかもわからなかったんだ。魔力なんか、もうないんだよ。」 「……それは、ヴァイスがレオンと変換させられている当事者だからよ。仕方ないわ。私はあまり変化がないから。」 「なあ、俺はたぶんイシュナードから鏡を取り返して魔法を解こうとしていたんだと思うんだ。プリアラ―」 「わかってる。協力してあげるわよ。どこまでいけるかわからないけれど。」 自信満々な笑みとは裏腹に言葉からはかすかな不安が感じ取れた。しかし、不安のために立ち止まっている暇はない。ヴァイスは力なく笑うと立ち上がり、ミルディアンへ向けて歩み始めるのだった。 その頃レオナルドは砂漠を抜け、たどり着いた街でとった宿の一室で思案をめぐらしていた。隣の部屋にはヴァイスが、そしてその向こうにはプリアラの部屋がある。二人に相談しようという気持ちにはあまりなれなかった。これからの行動で、二人は消えていくのだ。それを思うと、相談など出来るはずもない。 「…この鏡に、魔法の力を込めて僕の世界に戻れないだろうか?」 徐々に魔法の使い方がレオナルドにもわかるようになってきていた。もうプリアラと互角なほどになっている。 鏡をとりだし、集中する。指先を鏡に向け、瞳を閉じて念じる―魔力を戻すように― 「……うーん、ダメだ…。」 「レオン、入るぜ。」 「あ、どうぞ。」 ドアをノックすることすらせずに、ヴァイスが部屋へ入ってきた。そしてレオナルドの隣に座り込んで鏡を見る。 「何か思いついたのか?」 「あ…うん、まあ…。でもダメみたいだった。僕じゃあまだ、魔力が足りない…」 「魔力か…しかし、信じられないな。俺が魔法を自在に操っていたなんて。レオン、お前の知っている俺はそんなにすごかったのか?」 「すごいなんてものでは…。ああ、でも…君はたしか『本来は俺の魔力なんかじゃない』って言っていたような…」 レオンは自分の記憶をたどるが、記憶だけではどうしても答えが見つからない。何か別の方法で見つけるしかないのだろうか。そもそもこの世界では記憶すらも徐々に移ろいで行くのだから、考えても仕方がないのかもしれない。 「本来は自分の力じゃない?どういうことだ。魔法の力はそんな簡単に人の間でやりとりできるものじゃないんだろ?」 ヴァイスの言葉にレオンは小さくうなずいた。いまや魔法の原理はすべてわかる。魔力の受け渡しを行うことがどれだけ危険なことか、またその力が大きければ大きいほどリスクが増えていくことも。ヴァイスがもともと強大な力を持っていたのであれば、この世界のレオンもまた強大な魔力を持つはずだが、レオンにはそのような力がない。ならば、何者かから魔力を譲り受けたのだとしか考えられないのである。結局、考えは堂々巡りだった。 「…うーん…。そうなんだよね。僕もだいぶ魔法をつかえるようになったと思うけれど、僕が知っているヴァイスに比べたら全然かなわない。何か秘密があるのかもしれないね…」 「……そうか。うまく、いくといいよな。俺は部屋に戻る。」 「ありがとう、ヴァイス」 ヴァイスは笑みを浮かべて部屋を出て行った。再び訪れた静寂にレオンは魔術書を開き、視線を落とす。そして、精神を集中させると膨大な魔力の出所を調べるべく難解な文字を追い始めたのだった。 「…王子、だいじょうぶ?」 ヴァイスがレオンの部屋から廊下に出たところで、プリアラが囁くように言葉をかけた。ヴァイスは力なく笑って、肩をすくめる。 「プリアラにはお見通しか。正直、未だに戸惑ってる。」 「…私も。」 「なぁ。レオンがこのまま修道士になってもいいだろって思わないか?俺は王子っていう立場をあまり好きじゃないが、ミルディアンが好きだ。一生かけていい国にできるように力を尽くすつもりだ。この決意も全部幻なのか?幻なら、消えていくものだろうが、この世界は消えるどころか―…レオンの様子、見ていてわかっただろ。俺たちだってそうだ。レオンが、別次元のやつだなんて思えなくなってった。だんだん自然の姿にもどっているみたいに、だ。幻が真実になるなら、何が悪いんだ…って俺は思ってしまうんだ」 「私だって…思うことはたくさんある。だけど…だけど、レオンはやっぱり困っているし、元の世界に戻りたがっている。ねぇ、王子。レオンが元の世界に戻りたい理由、わかるかしら?」 「…それは、自分が元いた世界だから…」 「それも少しはあるかもしれないけれど、ちがうわ。断言できる。何かを心配しているような…そんな心が読み取れるの。」 「心配している心…?」 「そう。記憶が徐々に変わっていくから、漠然としているものだけれど…すごくあせっている。そんな気がするの」 「…そうか。仕方がないな、いつか…なるようになるんだろうな。」 「ええ。王子はあまり考え事をしないほうがいいわ。慣れないことをすると頭から煙が出るんだから」 「あーあーわかりましたよ。そろそろ寝るか。おやすみ」
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日が傾きかけている夕方、部活に燃える生徒達を横目にレインは気だるそうにバイクのエンジンをかけた。ヘルメットはつけていない。面倒だからである。 「レイン先生っ、ノーヘルはまずいですよ。死にますよ?!」 「だいじょうぶです、石頭なので。」 同僚の忠告をさらっと受け流してバイクにまたがり、さっさとスピードを上げて道路を飛ばしてやった。チッと舌打ちをして、今日の授業を振り返る。ああ忌々しい、悔しいが一応3-Sは選ばれた生徒達。どんなにぎゃあぎゃあと騒いでいようと当てられた問題にはしっかり答えてしまうのが悔しい。担任をまかされて数ヶ月、仕方ないが彼らの頭脳を評価し、自分とほぼ同等の能力をもっていると認めざるを得ないだろう、レインは頭の隅で考え始めていた。視界のスミに、交通整備の赤いステッキを機械的に振り回すヴァイスが入ったのも気づかずに。 一台のバイクがもの凄いスピードで通り過ぎたのを見て、やれやれとヴァイスは肩を落とした。 「ったく…レインのやつ放課後暴走族はやめろよなー…。」 ホイッスルを口から離し、後ろを振り返る。工事現場の親方がやかんをもって休憩しようと声をかけてくれたからだ。声は出さずに大きくうなずいて他のアルバイトたちの所へ向かう。 「お疲れーッス。」 「ヴァイス君、今日のお手当てね。」 「あざーっす。いや、ホント助かりますよー…来週もうちょっと多くバイトいれてもいいですかね?」 「いいけど、だいじょうぶなの?キミ受験生でしょ。」 「まあ、勉強はなんとかしますんで。」 やかんから注がれた熱いお茶で喉を潤し、配られたおにぎりをほおばりながらヴァイスは少し考える。自分の進学のこと、アリアの学費のこと。今の自分の学費は全額免除されているので当面の間心配は無い。しかし、アリアは半額免除の対象。最終学年にならねば、全額免除の選考試験がない。両親の残してくれた遺産も少しはあるが、それに頼ってばかりいれば生計が立たなくなってしまう。 スケジュール帳を開いた。来週は毎日バイト。うち3日はかけもちだ。幸いなことに、体力にも自信があるからなんとかなるだろう。しかし、疲労がたまることは事実であって。 「キッツぅ・・・」 愚痴の一つも零したりしてしまう。幾度か、エルネストの両親から援助の申し出はあった。しかし、ヴァイスは丁寧に断っている。公的な補助も受けているし、友達関係の人から金銭の貸し借りはするなというのが両親の教えでもあった。 「やっぱ大学やめよっかな・・・」 給料袋をかばんにしまい、同僚達に別れの挨拶をするとヴァイスは帰路に着いた。腕時計の文字盤は、違う日付を指している。さっさと帰ってアリアの用意してくれた食事を流し込み、疲れを取るべく眠りにつきたいところだが、宿題があったような気がする。 「あの先公~っ!・・・ま、いいや。当てられたらその場で答えたろ。」 それくらいの頭脳はあると自負している。いざとなったら、エルネストにノートを借りるなり、レオンのノートを盗み見するなりすればいい。プリアラは・・・後が怖い。そんなことを考えながら歩いて通り過ぎようとしていた工事現場から、ガシャンという何かが割れる音、鉄パイプのかすれる金属音、そしてドサリとなにかが落ちる音、怒鳴り声。怪訝そうな顔をして工事現場を覗き込む。 「ん?なんだなんだ、ケンカかぁ?」 その場には数人の高校生が鉄パイプ片手に立っていた。高校生達の囲んでいる中心には小学生くらいだろう少年が倒れている。少年のめがねは割れていて、踏み潰された形跡がみられた。 「おいオメーらぁ!ガキんちょ相手になーにやってんスかっ」 こんな状況で助け舟を出さないわけには行かない。相手の数は7人。7対1はやはり少し不利ではあるが、ここで逃げては男が廃る。鉄パイプが足元に転がっているが、手に取るつもりは無かった。人は素手で戦えば、ケンカをする理由も見えるはずだと、ヤンクミのマネをしつつ言っていたレインの言葉を思い出したのだ。 「けっ、あんなセンセーでもヤンクミの言葉を言えばそれなりじゃん。」 「なーにごちゃごちゃ言ってんだよガキが!」 「このガキの仲間か?」 「ンナァァァア!てめぇ!どこが仲間に見えるんだよ!ガキっつーな!来年大学生だよ!こいつ小学生だろ、どう見ても!俺サマがそんなガキに見えんのか!ああもう容赦しねー!」 数分かかった。ヴァイスにしてはかなりの苦戦を強いられたほうだろう。手のひらには血が滴っている。腕にも、足にも痣ができたがまぁそれは仕方ない。それよりも、小学生の少年の安否を確めなければならなかった。 「おい、だいじょうぶかよ。」 「・・・あ。」 「あんた、どこの小学校のコ?ていうかこんな時間になんでウロついてんだよ。俺送ってくぜ。家どこ?」 「あ、ありがとうございました・・・。でも、俺平気です。あ、あの。名前は・・・?」 「俺?俺はヴァイスだ。」 「ヴァイス様ですね。その制服・・・召喚高校、ですよね?」 集団に殴られていたにもかかわらず、少年は案外元気そうである。質問攻めにあっている状況が面倒でその場からさっさと去ってしまいたい。 「俺、ヴァイス様についていきますよ!」 「あ・・・あっそう・・・。とにかく送らなくても平気なんだろ?俺帰るから。」 視線をあわせずに手を振って、その場を後にした。なんだか妙な小学生だったと首をかしげて。 翌日のことだ。眠たげな目をこすって家のドアを開き、学校へ向かう。アリアは大慌てで時間割をそろえていたので置いてきた。どうしてあんなに準備に時間がかかるのかがまるで理解できない。通学路の途中にあるエルネストの家によって、迎えに行こうか。と、自分のすぐ隣をもの凄いスピードのバイクが駆け抜けていった。朝っぱらからうるさいなと思ったら、自分の担任だった。ダメ教師め、って人のことをいえないか。ヴァイスは薄く笑いながら少しだけスピードを上げて走り出した。 「エルゥゥゥ!遅刻すんぞー!」 「わかってますーって!」 いつもの朝が始まる。変わらない日常が。 そう そう信じていたのに。 「転校生がいます。」 心底面倒だと物語っているような口調でレインが言う。その隣に立っているのは背が高い、つんつんと尖った金髪の少年。めがねをかけており、知的な印象を受けた。気になるのは、彼がずっと穴が開くほどヴァイスの方を見ていることなのだが。 「どうもっ!俺、ベルクです!そちらにおられるヴァイス様に憧れて無理やり転校してやりました!これからよろしくお願いします!」 「無理やり?!」 レオンが何か突っ込みを続けたそうにしていたが、レインが話を打ち切ったが為にそれは失敗に終わる。ベルクは自己紹介をするやいなやヴァイスの隣に机を置き、にこにこと恐ろしいほどの笑みを浮かべてどっかりと座った。その様子にやや驚いて、というよりも数歩引いてしまいたいような気持ちを抱いて、ヴァイスは口を開く。 「あ、あんた・・・なんでさっきから俺のこと見てんだよ。」 「やだなぁ、昨日助けてもらったじゃないですかっ。あの時から決めたんですよ。俺、ヴァイス様みたいにカッコイイ人になろう!と・・・」 「昨日?・・・だって、俺は。」 昨日助けたのは、たしか随分年下の幼い少年だったはず。 ヴァイスは首をひねる。遠くから、レインが新しいバイクを自慢している話が聞こえてきたが、それもあまり頭に入らない。 その日、ぼんやりとしたまま放課後を迎えたヴァイスは、なんとなく誰にもこの話を言えずにアルバイトに向かったのだった。